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突然ですが、世の中の争いごとの原因で一番多いものってなんだと思いますか?
ZAWAの独自解釈では、「自分の正解とする価値観をお互い譲らず押し付け合う」行為からくるものだと思っています。
そして、ストレスや悩みの元凶もそこにあると思っています。
三大心理学者として名高いアドラーさんは「人間の悩みの原因は全て人間関係に依るものだ」とキッパリと言い切っていますが、人間関係でのトラブルの多くが「価値観(正解)の違い」から起こります。
例えば仕事では・・・
上司「なんでこんなことも出来ないんだ!考えればわかるだろ!」
部下「そんな指示も出てないし、教わらなきゃできないわ!」
例えば恋愛では・・・
彼氏「他の男と遊ぶなんてありえないだろ」
彼女「自分だって他の女と遊んでるくせに何言ってんの?」
例えば家庭では・・・
姑「妻は夫を支えるものでしょう。働きにでるなんて…」
嫁「あなたの息子の稼ぎが悪いから働いてんだけど?」
このように、自分の正解を押し通そうとお互いがするから摩擦が生じる。
本日は一本の映画を通して、自分の価値観をアップデートすることのメリットをみなさんにお伝えできたらと思います。
それでは始めます。
『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』
こちらの映画みなさんご存知ですか?
2015年に製作されたマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー作品で、ざっくりあらすじを話すと、度重なる侵略戦争が上手くいかなかったアメリカ。そこでムーア自ら国防省の代わりに「侵略者」となり世界各国から「あるモノ」を略奪すべく侵攻する、という内容。
以下、ネタバレ要素があります。
※内容を知りたくない人はこの先は見ないでください。
その「あるモノ」というのは、
各国の「常識」。
アメリカで当たり前とされている「常識」とは違う各国の「常識」にムーアが触れ、なぜその国の人々がそのような考え方をするのか、その考え方にどのようなメリットがあるのかを取材し、良い部分を「奪い」アメリカに持ち帰るという企画なのだ。
そのいくつかを紹介したいと思います。
イタリアの「労働環境」の常識
イタリアに訪れたムーアは、労働者・経営者などに労働環境についてインタビューをする。イタリアで「働く」ということへの常識として下記のような実態があった。
・有給休暇が多い。(年80日ほど)
・結婚したらさらに休暇をもらえる
・12月にはもう1ヶ月分給料が貰えたりする。
・経営者はそれが従業員の正当な権利と考える。
・経営者としてそれを提供できることに喜びを感じる。
・ランチタイムは家に帰り2時間ゆっくり食事を楽しむ
・産休は5ヶ月もらえる。もちろん有給。
アメリカ人であるムーアはこれを聞いて驚愕する。
「そんなに休むのか?なぜ?」
「アメリカには有給休暇を保証する法規制が無い。実質0でも法的に問題ない」
バイクメーカーのドゥカティの CEOは「会社の利益と社員の福利厚生は両立できる」と語る。
利益を追求するよりも、働く社員がストレスなく人生を楽しむ環境を整える。
その結果、働くことの楽しさや喜びや生産性の高さに繋がるという考え方が土台としてあるのだ。
ムーアもビックリしていたが、日本人であるZAWAもまた驚きました。
「仕事=苦痛」と考えている人や、「生きるためにはしょうがない」と考えている人が日本にどれだけいることでしょう。
イタリアはこれだけ労働時間が短いにも関わらず、「世界の生産性が高い国ランキング」で15位以内の高い生産性を誇っている。
フィンランドの「学校教育」の常識
フィンランドの「教育の常識」として下記のようなものが挙がった。
・宿題はなし。
・学力テストなどでの順位付けはしない。
・テストで点を取るための訓練は教育ではない。
・学校を作り授業料を取るのは違法。だから私立がほとんどない。
・一番いい学校は「家の近くの学校」
・子どもは、子どもらしく日々を楽しむ必要がある。
・学校は子供達が自分の「幸せになる方法」を見つけるところ。
・脳が活性化することはなんでも教育。
アメリカも日本も、教育や学校運営は一つのビジネスとしての側面が強い。
日本で子どもたちは学校以外に塾に通い、偏差値の高い学校に入るために試験でいい点数を取るための訓練を小さい頃から当たり前のように強いられる。
「評価の高い学校に入り、評価の高い企業に就職することが幸せな人生を送るために必要だ」という考えがそこにはあり、事実社会はその「常識」に基づいて回っている。
フィンランドの学校では、問題意識を持って自分で考えることを教える。
そして、自分も他人も尊重できて幸せに生きる方法を教え、考えさせる。
子どもたちを大人と同様に扱い、彼らの自主性を尊重し、成りたい自分になるために必要なものを教育者として提供するのが学校の仕事だと捉えている。
授業の時間は他国に比べてものすごく少ないにも関わらず、フィンランドの学生の学力は世界トップレベルだ。
ポルトガルの「薬物」に関する常識
・ドラッグ使用者が逮捕されない。
・ドラッグ使用者の90%が何も問題を起こさない。
・彼らが誰かを傷つけているとすれば自分自身。
・医療は全員無料、治療を受けやすい環境を作り依存症も減る。
アメリカでは違法薬物の使用者は犯罪者として逮捕・服役をさせる。
使用者を特定することで社会から犯罪者を排除することができると考えているから。
ただ実際はいくら逮捕者を増やしたところで薬物使用者は減ることはなく、社会問題として根深く残っている。
「人の尊厳を守ることが社会の柱であり、全法律はその原則に従ってこそ成り立つ。」とポルトガルの警察官は話していた。
ポルトガルは、ドラッグを違法としなくなったことで使用者が減った。
ノルウェーの「犯罪・刑務所」の常識
ノルウェーの刑務所の常識はこうだ。
・刑務所は解放型。
・広大な敷地に住む場所や部屋などが提供される。
・パソコンやテレビ、ゲームなどの所持も自由。
・家族や友人と離れて暮らすという不自由が彼なの罰。
・受刑者115人のある刑務所を管理する看守はたった4人。
・愛や親しみや温かさを思い出してもらい、社会に復帰してもらう。
「罪を憎んで、人を憎まず」という言葉がノルウェーにはしっくりとくる。
もちろん法を犯した者には罰が与えられるが、厳しい罰を与えることがいい未来に繋がるという考え方がノルウェーの常識にはない。
大量殺人犯に自分の息子を殺された父親にムーアがインタビューをした。
ムーア「犯人を殺せるチャンスがあったら殺したいと思うかい?あなたの息子の仇だよ?」
父親「復讐は望まない。犯人と同じレベルに成り下がりこういうのか?『お前を殺す、私にはその権利がある』と。そんな権利は無い。例え相手が最低のクズであったとしても、私に裁く権利は無い。」
このように犯罪者に対して厳罰を科さない常識を持つノルウェー。
ノルウェーには死刑制度は無く、最大刑期は21年。
罰は憎しみを増やすだけと考えているからだ。
アメリカの犯罪者の5年以内の再逮捕率は80%だが、ノルウェーは世界最小の20%。殺人事件発生率は世界一低い。
これ以外にもムーアは様々な国に行っては、その国の「常識」とアメリカの「常識」との違いを目の当たりにします。
そして、その常識の良い部分をアメリカに持ち帰り、自分たちにより良い未来の為に有効活用させたい!という趣旨の映画です。
価値観をアップデートすることが「幸せ」への近道。
映画で紹介されている国々が全てにおいて上手くいっているかと言えばそうではありません。
また、各国のシステムだけを真似して導入したとしても上手くいかないでしょう。
この記事を読んだ人の中には、「文化や歴史も違う他の国の話をされたところで、ここは日本だよ!」と自分とは縁遠い話しと思われる方もたくさんいると思います。
ただこの映画を見てもらったら分かると思いますが、ここで紹介して「上手くいっている」国々は初めから上手くいっていた訳ではありません。
問題があることに対して、今までの考え方を改め、新しい試みに挑戦することで結果を出していったのです。
そしてどこの国にも共通しているのが、「人を信じ、尊重し、大事にすること」、「自分の幸せを大事にして、他人の幸せを大事にすること」。
自分の利益だけを考えたり、守ろうとするのではなく、互いに尊重しあい、助け合うという精神が考え方の根底にあります。
人間は尊重されるべきだという考えは、日本国憲法にも書かれています。
日本国憲法第11条には、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。 この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」として、この憲法を貫く最も基礎的な原理として人権尊重主義を掲げています。
文化や歴史や常識が私たちとは全く違う他国での話だから、日本では無理!って話しじゃ無いんです。
どのようなやり方が正解で間違っているかという話はいつも通りここではしません。
そんな正解は無いと思うし、そんなことを決める権利は誰にもありません。
ただ言えることは、自分の精神衛生状況を良好に保つことで、人生のハッピーの時間を増やすことが出来るはずだと信じてますし、「自分の価値観・常識・正解」だけしか選択できないことは自分にとっても他者にとっても不幸せに繋がる考え方だと思っています。
この映画はそういった自分の価値観にメスをいれるのにすごく有効な映画だと思いますので、是非ご覧いただくことをオススメします!
因みにZAWAはこの映画をHuluで視聴しました。
『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』はHuluで視聴可能です。2週間無料のお試し期間あり!
この映画に興味がある方は、無料期間を利用して是非見てみてください。
本日は以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました。
赤澤飯店の主人:ZAWA
1982年東京生まれ。
脱サラし、海沿いの町で飲食店を営業。
ケアストレスカウンセラー。
『GOOD VIBES ONLY』をモットーに日々ストレスの無い毎日を研究中。
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